耳鍼療法には複数の技術体系と使用器具が存在します。
そのため、統一したルールがなければ施術者や患者様双方に誤解を与えてしまい、正確な情報共有が難しくなります。
耳鍼療法は大きく2つに分類されます
トレーニングベースでは、耳鍼療法を以下の2つに分けて整理しています。
- ASPを使用しない耳鍼&耳つぼ療法
- ASPを使用する耳鍼療法
① ASPを使用しない耳鍼&耳つぼ療法
まずはASPを使用しない耳鍼療法から解説します。
この体系は、侵襲(身体への負担)が少なく、比較的痛みが少ない施術が可能であるため、
初心者や一般の方にも取り組みやすい特徴があります。
ASPを使わない耳鍼療法は、日常的な体調管理から美容、慢性症状のケアまで幅広く対応できる療法です。
使用する道具によっては国家資格を持たない方でも学ぶことができ、耳鍼療法の入門としても活用できます。
トレーニングベースで学べる内容では、このカテゴリーに以下の2つが含まれます。
- 毫鍼を使用し電気刺激を併用したBFA(松浦流BFA)
- MSEA(松浦式耳鍼療法&耳つぼ療法)
- EZT(Ear Zone Therapy™:耳ゾーン療法)
毫鍼を使用し電気刺激を併用したBFAについては、想定以上に「松浦流BFA」としての名称が広く認知されているため、今後もトレーニングベース会員内ではこの呼称を継続して使用してまいります。
なお、使用するポイント(ツボ)を変更した施術につきましては、「BFA」ではなく必ず「MSEA」の名称を用いております。
毫鍼を使用し電気刺激を併用したBFA(松浦流BFA)
日本国内でASPが認証される以前、松浦は2012年頃より「ASPを使用せずに戦場鍼(Battlefield Acupuncture:BFA)に近い効果を再現できないか」という臨床的探究を始めました。
この探究が「Battlefield Acupuncture研究会(現・BFA JAPAN)」を立ち上げるきっかけとなり、今日の活動の原点ともいえる治療法となりました。
本施術は、米軍開発の戦場鍼(BFA)プロトコルに基づき、ASPの代わりに毫鍼を用いて施術を再現しようとしたものです。
使用するツボや刺鍼の順序はすべてBFAプロトコルに準拠しており、ASPによる持続刺激に相当する効果を得るため、必要に応じて鍼通電を併用して刺激量を補っています。
米国におけるBFAはASPを用いることが一般的であると、当時は主にインターネット上の情報から知り得ていました。
しかし、日本国内では当時ASPの入手や使用が制限されていたため、毫鍼によってBFAを再現することが現実的な代替手段であると考えました。
この試みが発展し、現在では多くの臨床家や受講者の間で「松浦流BFA」として広く認知されるに至っています。
松浦個人としては、ASPが国内で認可された際、米国発祥のBFAに自身の名を冠することに一時戸惑いを覚えました。
しかしながら、毫鍼を使用し電気刺激を併用した施術法としての「松浦流BFA」がすでに一定の臨床的認知を得ていることから、今後もBFA JAPAN、MSEA JAPAN、そしてBFA & MSEA Training Base内においてはこの呼称を継続して使用してまいります。
なお、BFAプロトコルに記載されないポイント(ツボ)を使用した施術については、BFAではなく「MSEA(Matsuura-Style Ear Acupuncture)」の名称を用いて明確に区別し、運用しております。
MSEA
「松浦式耳鍼療法」および「松浦式耳つぼ療法」を統合した名称が、英語名 Matsuura-Style Ear Acupuncture & Acupressure、略称 MSEA です。
MSEAは、松浦の祖父である先代(1950年創業・松浦鍼灸院 前院長:故・松浦博一)から受け継いだ技術を大切に守りながら、私自身が日々の臨床現場で試行錯誤を重ね、患者様一人ひとりと真摯に向き合う中で磨き上げてきた施術体系です。
また、中国式の耳針、ノジェ式耳介療法、NADAプログラムなど、国内外のさまざまな耳鍼療法を独自に学び、それぞれの流派や技術を尊重しながら、その優れた要素を取り入れ、融合させてきました。これらの経験は、現在のMSEAを形成するうえで欠かすことのできない重要な基盤となっています。
さらに、ASPが日本でまだ認可されていなかった時代である2012年頃より、毫鍼を用いてBFA(戦場鍼)を臨床的に再現できないかという研究にも取り組んできました。
こうした挑戦と臨床経験を積み重ねる中で、耳鍼療法の可能性と進化を常に模索し続けてきたのです。
その結果、従来の耳鍼療法を臨床現場でより扱いやすい形に整理し、幅広い分野で活用できる施術体系として進化させたものが、松浦が独自に構築した完全オリジナルの「現場の耳鍼」――MSEAです。
MSEAの特徴と適応症
MSEAは現代の患者様の多様なニーズに対応するために松浦の臨床現場で進化した「現場の耳鍼」です。
対応できる分野の一例は以下の通りです。
- 自律神経のバランス調整
- 不眠や入眠困難のケア
- 慢性症状のケア(肩こり・腰痛・頭痛など)
- 日常的な体調管理
- PMS・更年期障害・生理痛など婦人科系症状
- 耳鳴り・難聴・めまいなど耳鼻科系症状
- コロナ後遺症のケア
- 美容領域等など…
患者様の体質や病状に合わせて様々なデバイスをを用いることで、患者様に安心感を与えつつ、安全で再現性の高い施術を提供することができます。
EZT
EZTは、Ear Zone Therapy™(耳ゾーン療法)の略称です。
耳を複数のゾーンに分けて施術を行う療法で、松浦式耳鍼療法をさらにシンプルに発展させた施術法です。
最大の特徴は、誰でも扱いやすい仕組みにしている点で、使用する道具によっては国家資格を持たない方でも簡単に習得できるため、耳鍼療法を初めて学ぶ方の入門ステップとして活用できます。
また、資格を持たない方にも耳つぼ療法を日常に取り入れ、その効果や魅力を体感していただくことで、これをきっかけに鍼灸師が施術する本格的な耳鍼療法(BFAや松浦式耳鍼療法)に興味を持っていただくことも狙いのひとつです。さらに、施術の手順をできる限りシンプルに整理しているため、初学者でも迷わず理解でき、実践しやすい内容となっています。
施術の手順はミッションブリーフィング又はBFA&MSEAトレーニングで
推奨使用器具:マグレイン円錐粒(Magrain Conical Pellets)
② ASPを使用する耳鍼療法
ASPは耳に留置するために開発された特殊なフランス製のディスポ鍼です。
急性期の強い痛みや慢性痛に対して特に優れた効果を発揮します。
ただし、毫鍼と比較すると刺激が強く、侵襲も大きいという特徴があります。

トレーニングベースで学べる内容では、ASPを使用する耳鍼療法を以下の3種類に分類しています。
BFA®
Battlefield Acupuncture using ASP・戦場鍼
米国発祥の耳鍼療法で、米空軍によって開発された世界標準のプロトコルに基づいて施術されます。
MSEA-A
Matsuura-Style Ear Acupuncture using ASP・松浦式ASP耳鍼療法
松浦式耳鍼療法にASPを取り入れることで、より高い効果と持続性を追求し進化させた施術体系がMSEA-Aです。
EZT-A
Ear Zone Therapy™ using ASP
ASPを使用したEar Zone Therapy™で、松浦式ASP耳鍼療法をさらにシンプルに発展させた技術体系です。
BFAとMSEA-A、EZT-Aの呼称について
過去に私(松浦)がBFAをアレンジ・カスタマイズして発信していた施術も、
現在はすべてMSEA-AやEZT-Aに含まれます。
日本におけるBFA普及活動に際しては、一部誤解を招く表現があったことを深く反省しております。
今後は、名称を明確に区別し、正確でわかりやすい情報発信に努めてまいります。
また、トレーニングベース会員に対しても、
プロトコル通りでないBFA施術はBFAと呼ばず、MSEAまたはEZTとするよう指導してまいります。
使用器具および併用器具別の表記ルール
同じ MSEA や EZT でも、使用する器具によって施術内容や目的が異なるため、
BFA JAPAN では以下の表記ルールを採用しています。
基本ルール
- A:ASPを使用した施術
- F:毫鍼(Filiform Needle)を使用した施術
- P:パイオネックス(PYONEX)を使用した施術
- PZ:パイオネックスゼロ(PYONEX ZERO)を使用した施術
- M:マグレイン(Magrain)を使用した施術
- MC:マグレイン円錐粒(Magrain Conical Pellets)を使用した施術
- LFEA:低周波鍼通電療法を併用した施術
- MCEA:マイクロカレント(微弱電流)鍼通電療法を併用した施術
表記例
- MSEA-F
→ 毫鍼を使用した松浦式耳鍼療法 - MSEA-MCEA
→ マイクロカレント鍼通電療法を併用し松浦式耳鍼療法 - MSEA-MCEA(ラスパーエース・MC)
→ ラスパーエースを使用したマイクロカレント鍼通電療法を併用し松浦式耳鍼療法 - EZT-P
→ パイオネックスを使用した Ear Zone Therapy™ - EZT-MC
→ マグレイン円錐粒を使用した Ear Zone Therapy™
このルールの目的
この表記ルールにより、
「どの技術体系で、どの器具を使用、もしくはどの施術方法を併用したか」が一目で分かります。
その結果、施術者間での情報共有がスムーズになり、患者様への説明も分かりやすく、安心感を持っていただけます。
体系一覧表
| 区分 | ASP使用 | ASP不使用 |
|---|---|---|
| 米空軍で開発された戦場鍼(BFA) | BFA® | BFA |
| 松浦式耳鍼療法 | MSEA-A | MSEA(MSEA-F / MSEA-MCEA) |
| Ear Zone Therapy™ | EZT-A | EZT(EZT-MC / EZT-P ) |
まとめ
耳鍼療法を正しく広めるためには、技術体系と使用器具を明確に分けて管理することが不可欠です。
トレーニングベースではこのルールを基準とし、臨床現場や教育現場での混乱を防ぎ、耳鍼療法の正しい普及と標準化を推進していきます。
BFA JAPAN Training Base powered by MSEA JAPAN Tetsuya Matsuura
September 9, 2025
Tetsuya Matsuura
Representative, BFA JAPAN


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